研究概要 |
「人工DNAシャペロン」によって植物の硝酸代謝系の亜硝酸還元酵素(NiR)遺伝子を制御することを目的に、本研究を行っている。「人工DNAシャペロン」を植物体中で発現させ、硝酸代謝系を変化させる形質転換体を作製する場合、植物の硝酸還元能がどの程度変化しても植物が生育可能であるのかを予め知っておく必要がある。そこで、^<15>NラベルしたNO_2ガス(植物体中で水に溶け、NO_3^-とNO_2^-に変化する)を217種類の植物に吸収させ、有機体窒素への還元同化能力をin vivoで調べた。その結果、植物種によって、最高600倍以上の差があることが明らかとなった(H.Morikawa et al.,1998)。この結果は、植物の硝酸代謝系の硝酸還元同化能力は、非常に大きな差があり、「人工DNAシャペロン」によって遺伝子工学的に植物の硝酸還元系を改変しうることを示している。 現在、「人工DNAシャペロン」発現ライブラリーよりスクリーニングした、亜硝酸還元酵素(NiR)遺伝子のプロモーターおよびその上流のDNA配列に特異的に結合する「人工DNAシャペロン」遺伝子を、植物体(シロイヌナズナ)にパーティクルガン法によって導入し、形質転換体を作成中である。今後、形質転換体の亜硝酸還元酵素(NiR)活性、硝酸還元同化能力を^<15>Nラベルした硝酸もしくはNO_2を用いて、解析してゆく予定である。
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