開口放出と細胞内Ca上昇の関連を調べるため、単一膵腺腺房細胞に膜容量計測法を適用した。低濃度(50nM)AChでは、チャネル活動を伴わない膜容量増加反応を得た。この反応はEGTAおよびイノシトール3リン酸受容体拮抗薬であるヘパリンにて阻害された。一方、低濃度Caイオノフォア(A23187:60nM)は膜容量変化を伴わないイオン電流の発現を促した。以上、チャネルは膜直下のCaにのみ応答することから、低濃度Achは分泌顆粒近傍でのCa上昇のみを促し、またCa-ウェーブは分泌顆粒近傍あるいはオルガネラ膜領域に限局すると結論された。 単一膵腺腺房細胞からNuclear envelope(NE)を得て、ER指向性蛍光色素(DiOC6(3))、核酸指向性蛍光色素(Ethidium bromide)により染色し、共焦点レーザー顕微像を得た。また、パッチクランプ法Whole-ER recording(通常のWhole-cell recordingと同様の操作)を用いて親水性蛍光色素、ルシファーイエロ-、をERに注入すると、バルーン状に膨れ上がったER管腔が確認できた。このように形態的にもまたパッチクランプ法手技のうえからも、NEはER膜による閉鎖管腔を構成していることをみた。以上をうまえ、200pS・Maxi-Kチォネル、Cl-チャネルの等、数種のイオンチャネルがER膜上に存在することを確認した。 NE標本に膜容量測定法を適用し、ER管腔内Ca濃度により膜容量が変化することを見いだした。ER膜の出芽およびその崩壊と解釈される。
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