本研究は、8例のHIV感染末期のヒト剖検脳を検索すると、全身の日和見感染が脳に波及している群と、そうでない群とにわけた場合、前者には、fiber gliosisが認められない=つまりastrocytesが先に侵される可能性があり、後者には、概ねfiber gliosisを認める事から、HIVの脳への侵襲は、astrocyte-trophicな経路と、そうでない経路が示唆された事から、BBBへの関与が問題であることから始まった。 本年度の形態学的解析からは、いずれの群にも、細小血管の内皮細胞が、同年齢対象と比べ、あきらかし腫大し、重層化していること、過去の古い繰り返された出血にともなうhemosiderinの沈着を認めた点で(いずれも未公開データー)、やはり、脳血管関門の少なくとも細小血管の内皮細胞には、ほぼ同等の、微生物の侵襲にともなう通常認められない変化であり、1)全身的には、細小血管の内皮細胞はどうか?2)準超微形態的に、三次元での細小血管の内皮細胞とastrocytesの関連を解析できないか?を考え、現在方針を少し修正して、検索中である。
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