本研究は、自験例8例のHIV感染末期のヒト剖検脳の検索から、全身の日和見感染が脳に波及している群には、脳にfiber gliosisを認めない、脳には波及しない群には、fiber gliosisを認める事から、HIVの脳への侵襲はアストログリアを標的にする経路としない経路の二つの経路の存在が示唆された事から始まった。 脳の微細血管の内皮細胞の肥厚は、光顕的にはどちらの群でも認められた。 そこで、血管内皮とアストログリア双方の準超微形態的に三次元形態解析を予定し、解析準備にとりかかったが、今の所決定的なデータを見いだせていない。 現在、解析は継続中である。 平成9年度は、この2つの経路の存在に関して、第13回国際神経病理学会において問題提起し、あわせて他国のヒトHIV脳の剖検例での情報交換を行った。
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