研究概要 |
ヒトArbitrarily-primed PCR(AP-PCR)産物の染色体局在決定法として,Simultaneous hybridization of arbitrarily-primed PCR products(SHARP)法を開発し,報告した。本法を近年樹立された放射線照射雑種細胞パネルによる精細なヒトAP-PCR DNA指紋の染色体内局在決定法に応用する前段階として,実際に未知領域のヒトゲノムDNA断片について染色体中での確実で詳細な位置決定が可能かどうかを確認した。そのため,ヒト膵臓癌細胞PANC1ゲノムDNAのRLGS解析で遺伝子増幅を認めた5つの未知のDNA断片の塩基配列決定を行い,特異的なプライマーをPCR用に設定した。これを用いて放射線照射雑種細胞パネルをPCRで解析し,インターネットを介した統計的手法により染色体内局在決定を行った。これらは全て第19番染色体長腕上に存在するAKT2がん遺伝子の近傍に局在した。PANC1をはじめとするヒト膵臓癌培養細胞株でAKT2がん遺伝子の遺伝子増幅及び過剰発現がサザンブロット・ノーザンブロット法でそれぞれ確認された。一方,実験系に陽性対照を得る目的で染色体内局在が既知のDNA配列に由来するプライマーを設計してヒトゲノムDNAをAP-PCRで解析したところ,目的のDNA断片は得られなかったものの,得られたDNA指紋がヒトがんでの遺伝子不安定性を効率よく検出する事が判明し,実際のヒト大腸癌DNAの遺伝子不安定性の検出効率を蛍光標識プライマー及び自動塩基配列決定装置を用いて解析しAP-PCR解析(蛍光AP-PCR DNA指紋法)自動塩基配列決定装置によるDNA指紋解析が古典的な放射線同位元素を用いるより優れていることを示した。
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