研究課題/領域番号 |
08877070
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宮前 珠子 広島大学, 医学部, 教授 (10239436)
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研究分担者 |
石橋 陽子 広島大学, 医学部, 助手 (30294549)
ジョンソン ノーマ 広島大学, 医学部, 講師 (00274051)
吉川 ひろみ 広島県立保健福祉短期大学, 助教授 (00191560)
水流 聡子 広島大学, 医学部, 助教授 (80177328)
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キーワード | 役割 / 高齢者 / 作業 / 生活構造 / コミットメント / 内的期待 / 外的期待 / 守屋國光 |
研究概要 |
高齢者が持つ・持ち帰る「役割」評価法の開発を目的に、昨年度は内外の関連文献の検索・収集・分析を行い、今年度は次の2つを行った。(1)文献より、「自我発達の三次元モデル」(守屋、1994)が卓越した理論であると認識し、これにより役割を分析・考察し、次の結論を得た。三次元自我、即ち、生物的自我・社会的自我・時間的自我を、身辺処理活動、仕事、余暇活動の3作業遂行領域との関係を「作業と役割」という観点から分析した。「身辺処理」役割は、健常成人では生物的自我を満たすだけだが、学習中の者では、これが生活目標となり他者との関係性を導くので、3自我が充足され得る。「仕事」及び「余暇活動」における役割は、3自我を充足し得る。人は、複数の役割を持つことによって、3自我の充足を試みる。高齢者は社会的・個人的環境、身体的・知能能力などの変化により、役割の喪失と変化に遭遇する。即ち、三次元自我を充足していた役割を次第に失うのが老年期の1つの特徴である。どのような役割を持って3自我を充足するかが、老年期の幸福度を左右する1つの鍵と言える。(2)日常生活構造と役割に関する調査:役割は各年代により異なるという仮定の下に、20歳代から90歳代まで、各年代2名〜6名、計26名の在宅健常者に半構成的インタビューを行った。日常生活における80項目の活動リストを作成し、対象者が習慣的に行っている活動の抽出、抽出された活動の実施頻度・外的期待度・内的期待度・コミットメント度の3段階評価を得た。結果(多い順):コミット:60代以上-テレビ、新聞、電話、散歩、外食.50代以下-読書、訪問、仕事、新聞、晩酌.内的期待:60代以上-新聞、テレビ、外食、散歩、電話.50代以下-仕事、読書、晩酌、新聞、訪問.外的期待:60代以上-料理、洗濯、掃除、家計、交通.50代以下-料理、車運転、買物、仕事、掃除、洗濯.内的期待の高い項目とコミットの高い項目は一致した。どの年代も家事へのコミットは低い。今後対象者を増し調査を継続する予定である。
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