平成8年度は、健康人鼻腔中でその存在が確認され同定がなされたMRSA増殖抑制を有する菌の培養条件の確立、抗菌物質の抽出、分離、精製を実施する計画であった。 1菌種については、A)培養条件を確立した。B)抗菌物質の抽出、分離方法に関しても最適条件を見い出すことができた。得られた抗菌物質は生化学的検討を加えた結果、バクテリオシンであることがわかった。さらに引き続きバクテリオシンに対して幾つかの生化学的検討を加えた。なお、C)抗菌活性の測定法についても色々改良を試み、抗菌活性の再現性が確実なものとなった。D)精製についてはまだその途中であるが、ゲル濾過により分子量が十数KDaであることが示唆された。 もう一方の菌種については、培養条件の確立にてこずっており現在検討中である。しかし、この菌の抗菌性もバクテリオシンによるものであると推定される。 8年度実験を進めていく途上で、幸運にも新たに1菌種MRSA増殖抑制を示す菌が確認された。この菌についても同定を行い、さらに上記A)〜D)について同程度の結果を出すことができた。なお、このタンパクの分子量は百数十KDaであり、かなり大きいタンパクであることが示唆された。
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