今年度の実施結果 1.従来のカラムクロマトグラフィーに蛋白連続分取用電気泳動装置を導入して精製過程を簡略化し、ブタ肺からホスフォリパーゼDを繰り返し精製した。 2.得られた精製標品の一部をニワトリ、家兎に免疫し抗体産生を試みた。残念ながら抗血清はウエスタンブロティングで精製標品を認識できず、またホスフォリパーゼD活性を免疫沈降できなかった。 3.残りの精製標品をアミノ酸配列決定に回したが、N末端はブロックされていた。そのためペプチダーゼで限定分解した後、気相シークエンサーにより内部アミノ酸配列を決定した。得られた部分アミノ酸配列のホモロジー検索を行なったところ、これらの配列を含むシグナル伝達因子がホスフォリパーゼDの候補としてヒットした。 4.このシグナル伝達因子のヒトcDNAクローンは既にKazusa DNA Research Instituteで得られていたため、そのクローンを分与して頂き、発現実験を行なった。まず大腸菌で発現を試みたが、ホスフォリパーゼDの活性は発現しなかった。次に動物細胞、バキュロウイルスによる昆虫細胞を用いた発現実験を行なったが、やはり活性の発現は認められなかった。 5.そのため、従来のホスフォリパーゼDの精製方法を見直して、現在再精製を試みている。
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