自己免疫性神経疾患の治療法としてDNA免疫法を導入するために、予備的検討をおこなった。 1.T細胞抗原受容体(TCR)Vβ17a50-68特異的T細胞の解析: SJL/Jマウスの脳炎惹起性T細胞で頻繁に使用されているVβ17a由来のペプチドによる自己免疫性脳炎EAE抑制機構を解析し、TCR特異的でCD4^-CD8^-のT細胞が免疫調節に関与することをはじめて証明した(Journal of Immunology誌に発表)。DNA免疫によってCD4^-CD8^-のT細胞が誘導されるかどうか検討する必要がある。 2.脳炎惹起性T細胞クローンTCRのクローニング: 脳炎惹起性T細胞クローン4b.14aのTCRクローニングを開始した。DNA免疫とともに、可溶性TCRによるEAEの抑制実験を計画している。 3.エルゴタイプ分子のクローニング: T細胞活性化分子を認識するT細胞による免疫調節機構は、抗エルゴタイプ応答と命名されているが、その実態は明らかでない。エルゴタイプをクローニングすれば、そのDNAによりEAEが治療できる可能性がある。我々はこれまでに、エルゴタイプを認識すると思われるモノクローナル抗体B8を樹立している。B8に反応する分子のクローニングを継続し、2種類のB8反応性分子が同定された。しかし、その一つは既知の細胞内蛋白、もう一つはニューロフィラメントの逆転DNAの発現産物であることがわかった。既知の細胞内蛋白がエルゴタイプそのものであるかどうか、現在検討中である。
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