研究概要 |
DNA免疫法による免疫性神経疾患治療法の開発のために、昨年度に続き予備的な検討を行った。国外の研究の進展に鑑み、マウスおよびカニクイザルで単なる追試ではないユニークな実験系を確立することを目標にして研究を進めた。 1)脳炎惹起性T細胞クローン4b.14aの抗原受容体(TCR)アルファ鎖のCDR3領域に相当するペプチドは、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を含む各種自己免疫疾患を増悪させる(Yamamura T et al.J.Neurosci.Res.45:706-713,1996)。本クローンのDNAを標的とした治療を進めるために、そのTCRをクローニングし、派生的に九州大学神経内科の原との共同研究により可溶性TCRを作製した。さらにStanford大学との共同研究により、TCR発現CHO細胞クローンの作製に取りかかった。 2)DNA免疫をヒトに応用するモデルとして、サルのEAEのモデル確立に着手した。国立感染症研究所筑波霊長類センターとの共同研究で、カニクイザルにEAEを誘導した。また病原性クローンを同定する技術であるsingle strand conformation polymprphism(SSCP)法をサルに応用し、システムを確立した。SSCPで同定された増殖クローンのDNA配列を決定する技術、髄液細胞における優勢クローンのTCRを決定する技術も確立した。来年度はいよいよマウスおよびサルのEAEにTCRのDNA免疫による治療実験が行える段階に達した。
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