酵母Interaction cloning法(Yeast Two-Hybrid System)によりA kinase R subunit interaction domainを有する心臓で強く発現している未知のAKAP(A kinase anchoring protein)を、Biotinylated oligonucleotideとParamagnetic streptavidin beadsを用いて短時間でGAIP(G αInteracting Protein)cDNAをクローニングすることができた。Regulator for G-protein Siganaling (RGS)/GAIPのアイソフォームは、酵母などの下等細胞と哺乳動物cDNAを併せて9種クローニングされている。G α GTPase活性に対するRGS/GAIPのアイソフォーム特異性と結晶構造などの蛋白質化学的性質は最近明らかになりつつあるが、RGS/GAIPのin vivoにおける機能および細胞における存在意義(細胞のフィードバック機構なのか、情報伝達のクロストーク機構なのか、など)、細胞内局在と脂質修飾を受けている意味などはまったく分かっていない。したがって、細胞内情報伝達系におけるRGS/GAIPの機能を細胞/臓器レベルで解明することは次のステップとして不可欠である。さらに、AKAPの機能を解明することは、心臓にてcAMPを介する細胞内情報伝達機構の解明に繋がり、RGS/GAIPの研究と深く関連する。当研究室でクローニングした蛋白質は、A kinase anchoring proteinに類縁の蛋白質と考えられるが、他施設からは未発表の新しいAKAP homologである。不全心筋におけるこれらの機能の解明は、今後心不全の病態の解明および治療法の開発に大きな意義があると考えられる。
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