心筋樹状細胞を介する心筋免疫応答の基礎的研究

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08877116
• 研究機関: 北里大学
• 研究代表者: 和泉 徹 北里大学, 医学部, 教授 (80143775)
• キーワード: 心筋ミオシン / サイトカイン / 心筋炎 / 心筋樹状細胞

研究概要

今日まで我々の行ってきた一連の心筋ミオシン分画感作実験を用いての心筋免疫機構検索において、特に心筋樹状細胞を介した細胞免疫が重要な役割を果たしていることが指摘されてきた。今回の検討においては、合成可能な心筋ミオシンペプチドα重鎖aa1539-1555を用いて心筋樹状細胞への活性効果、並びに心筋炎惹起能を検討した。天然心筋ミオシン分画感作後第12日目のラットから採取したT細胞を合成ペプチドにて活性化し、正常ラットへの移注実験を行った。この時、IL-2あるいはIL-12の存在下でT細胞を培養することにより、より高率に心筋樹状細胞が活性化され、またより重症な自己免疫性心筋炎が惹起されることが示された。また、リコンビナントIL-12を実験動物に追加投与することにより、活動性心筋炎はさらに増悪した。このことから、自己免疫の心筋応答初期段階ではIL-2や、IL-12などのサイトカインが、心筋樹状細胞を介する免疫応答に強い影響を与えているものと考えられた。今後この観点からより深い検索が必要なことを示している。

研究成果

• [文献書誌] 和泉徹、小川祐輔: "重症心筋炎とショック-経皮的心肺補助装置(PCPS)の使用をめぐって-" 日本内科学会雑誌. 85・1. 66-72 (1996)
• [文献書誌] Tohru.Izumi.et.al: "Is diabetic heart muscle disease related to cardiac ischemia or autonomic neuropathy?" Diabetes Research and Clinical Practice. 30suppl. 77-83 (1996)
• [文献書誌] 和泉徹: "自己免疫性心筋炎の基本病像" 北里医学. 26・5. 251-255 (1996)
• [文献書誌] 鈴木啓介、和泉徹: "拡張型心筋症の成因-炎症よりみて-" 循環器科. 40. 205-212 (1996)
• [文献書誌] 増田卓、和泉徹: "拡張型心筋症" 内科. 79・1. 95-98 (1997)
• [文献書誌] Satoru.Hirono,Tohru.Izumi,.et.al: "Expression of Inducible Nitric Oxide Synthase in Rat Experimental Autoimmure Hyocarditis with Special Reference to Changes in ardiac Hemodynamics" CIRCULATION RESEARCH. 80・1. 11-20 (1997)
• [文献書誌] 和泉徹、斉藤玲子: "循環器疾患-State of arts" 医歯薬出版社, 3 (1996)