単色放射光をX線源とした微小血管造影法および重元素ラベルのマイクロスフェアを用いて、虚血時の左室壁の内〜外層部の微小領域の血流を2次元マッピングにより部位別に評価することにより、心筋虚血発生と交感神経活動との関連を検討した。すなわち、心交感神経活性は冠動脈内にドブタミンを負荷することによりシミュレートし、冠動脈血流は微小血管造影法により血流自体を可視化することにより評価を行い、心筋の局所別血流量はマイクロスフェアを用いた単色放射光励起X線蛍光分析法にて解析した。ビーグル犬を麻酔・開胸し、左鎖骨下動脈から左冠動脈前下行枝にバイパス路を作成した。心筋の虚血はバイパス路の部分狭窄により作成した。baseline、ドブタミン投与および冠動脈血流量を減少させた状態で、放射光微小血管造影法を行い、同時に重元素をラベルした非放射性マイクロスフェア(直径15μm)をバイパス内に注入した。その後、心臓を摘出しホルマリン固定後、対角枝に沿って左室前壁を厚さ1mmごとに切り出し、各重元素のK吸収端直上のレベルの単色放射光を心筋切片の250μm×250μmの範囲に照射し、得られたX線蛍光強度を半導体検出器で測定し、これをスキャンすることにより2次元マッピングを行い、心筋虚血発生と交感神経の活動性との関連を検討した。その結果、虚血時の左室壁の微小領域の血流は心筋の内層部でより障害されやすいこと、さらに心交感神経の活性化はこの虚血をさらに増長させることが放射光微小血管造影法で可視化された。さらに同様の現象がX線蛍光分析法にても明らかとなった。
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