研究概要 |
【概要、経過】本研究は、MRI、CT画像を利用し、特定組織の画像としての自動抽出、体積の自動測定を目的とした。研究期間中にCT、MRI画像のデータフォーマットが新企画(DICOM3)に変更になったこと、および臨牀モデルでは、腹部臓器の形態と周囲臓器の形態の変位がきわめて大きく、臓器選択はプログラムによる自動判定とマニュアル操作との相互的な連携が必要なことが判明したため、閾値法に対しファントムおよび臨牀例での実験後、問題点に対し新たに斬新的領域分割法によるプログラムを作成し、臓器抽出における基礎評価をこなった。【結果】単純な閾値法による領域選択法では、水層内に静置ししたCT値150の造影剤200mlを封入したゴム風船と手術用手袋ファントムのCT画像を閾値下限60で処理した結果、同一観察者による5回の測定ではそれぞれ196.0/1.67ml(平均容量/SD),195.9/0.88、4人の観察者による測定では197/1.31.193.28/1.46となった.しかし生体の脾臓では、臓器中央で測定した信号の+3SD、-2SDを上、下限閾値としたところ、臓器の辺縁あるいは造影の状態により観察者間の測定値が0.5%から13%までばらつき、閾値法の限界を示した。これに対し、新規に漸進的領域分割法を導入した。対象のvoxelを領域内、境界上、領域外の三状態automatonとして認識し、境界の自動選択とマニュアル補正での再現性を高めるため評価関数として内圧、圧力、stiffness,tensionを設定、さらに画像計算が9,3,1ピクセル四方の3段階で漸進するmultiresolutionとした。本法では、球形ファントムでの部分容積誤差の増加するピークが閾値幅で60から80に拡大し、脾臓のCT像をモデルにした測定でも3人の体積測定の範囲は5%以内となった。
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