研究課題
平成9年度の到達点と進行状況この実験は大きく分けて3段階に分かれる。平成9年度においてはそのうち、二つの研究段階の基礎的検討をした。第一は腫瘍増感性の高いMRI増感剤の開発である。MRI感受性物質としては、鉄、ガドリウム等が知られている。一方宇野等は以前からマウスモデル系において、サイトカインと水溶性高分子結合体を作成し、サイトカインの腫瘍増生部位への集積や、徐放により抗腫瘍効果の増大にとりくんできた。この実験の経験をもとに、瀧等は特に腫瘍局所への集積性の高い水溶性である、ポリビニルアルコールと鉄の結合体を作成し、magnetic susceptibilityの高いパルス系列を検討した。その結果MRI感受性の高いポリビニルアルコール鉄結合体が作成することができた。一方、宇野等は第二段階の動物実験系の検討を行った。ポリビニルアルコールと鉄の結合体をマウスに静脈注射した時、腫瘍部位へこれらが集積することを観察するために、いくつかの癌について検討した結果、MethA線維肉腫を皮下に移植した場合が、この実験系として適当であろうとの結論に達した。瀧等は現在、マウスの動物実験用、MRI装置の作成中であり、完成ししだい、作成されたポリビニルアルコール鉄結合体の腫瘍局所への集積性の画像解析に取り組む。なお、ポリビニルアルコール鉄結合体に抗腫陽性サイトカインを結合する条件についても現在検討中である。