研究課題/領域番号 |
08877182
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 利幸 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (40261284)
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研究分担者 |
加藤 紘之 北海道大学, 医学部, 教授 (80002369)
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キーワード | N116Y / pancreatic cancer / K-ras / H-ras / carcinoma cells / genetherapy / mutations / transformation |
研究概要 |
研究の目的、及び研究実施計画に基づいて、以下の如く研究を行い、成果を得た。 1)膵癌培養細胞株PCIにおけるras突然変異の検索 独自に樹立した10種のヒト膵癌培養細胞株PCI-6、10、19、24、35、43、55、64、66、68に関し、PCR-SSCP法を用いて、そのH-ras、K-ras、N-rasのコドン12、13、およびコドン61の変異を検索したところ、10株すべてにおいてK-rasコドン12、13の変異が認められた。また、PCI-43においてはコドン61の変異も認められたが、H-ras、N-rasの変異は認められなかった。 2)pZIP-N116Yによるin vitroでの膵癌細胞増殖抑制効果 プラスミドとしてv-H-ras抑制変異体N116YをpSV2neoに挿入したpSV2neoN116Yより、N116を含む2.2-kbのBamHI-EcoRIフラグメントを切り出し、これをpZIPneoSV(X)のBamHIサイトへ挿入してpZIP-N116Yを作成した。pZIP-N116Yをリポフェクション法を用いてPCI細胞株へ導入した。PCI-10、24、64の3株ではコロニーの増殖を完全に抑制した。また、pZIP-N116Y導入後に少数のコロニーを形成したPCI-35と43においては、N116Y導入後のコロニー数が、コントロールとして用いたpZIPneoSV(X)導入後のコロニーに比較して有意に低値であり、やはり、N116Yによる抑制効果が認められた。 その後、PCI-35、43のpZIP-N116Yトランスフェクタントの培養において、コントロールのpZIPneoSV(X)トランスフェクタントに比して、コロニー形態の変化、およびsoft agarにおけるコロニー形成率の低下が認められた。 以上よりN-116Yのin vitroでの膵癌細胞増殖抑制効果が確認された。
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