研究分担者 |
韓 一秀 東京大学, 医学部附属病院, 医員
深柄 和彦 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (70323590)
井上 知巳 東京大学, 医学部附属病院, 医員
古川 聡 東京大学, 医学部附属病院, 医員
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研究概要 |
本研究は、老人・低栄養・外科浸襲後等の免疫低下状態におけるGrowth hormone(GH)及びInsulin-like growth factor I(IGF-I)の免疫能改善効果の検討を目的とする。本年度は、GH・IGF-Iの外科患者周術期抹消血好中球機能に及ぼす効果を検討した。【方法】 外科手術患者の周術期(術前,術後代1,3,7病日)に採取した全血より血漿を除去し、mediumのみ(対照)またはGH(100ng/mL),IGF-I(500ng/mL)で4時間培養した。その後、好中球の以下の項目を検討した。1)自己血清opsonin化蛍光ビーズ貧食能、2)PMA刺激下活性酸素(ROI)産生能、3)LPS刺激下TNF receptor(TNFR)p55,p75発現能、4)LPS刺激下細胞内TNF-α産生能。【結果】1)GHは術後の、IGF-Iは周術期の好中球貧食能を増強した。2)GHは術後の、IGF-Iは周術期の好中球ROI産生能を増強した。3)TNFR発現能は各群とも術後低下したが、GH・IGF-Iは第3病日のTNFR p55発現能を増加させた。4)好中球細胞内TNFα産生能は、各群とも第1病日に上昇した後減少したが、群間で有意差はなかった。【結語】GF・IGF-Iは周術期好中球の貧食能・ROI産生能・TNFR発現を増強した。従って、GH・IGF-Iの周術期投与は、特に高齢や低栄養等で血中GH・IGF-I濃度が低下し、免疫低下状態にある外科患者において、好中球殺菌能を増強することで感染性合併症の予防・治療に有用な手段となり得ると考えられる。
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