p53の標的遺伝子であり細胞増殖を負に調節する作用を持つWAF1遺伝子を、転写の段階で活性化させる薬剤として酪酸を主に用いて実験を進めてきた. 1.翻訳開始点から種々の長さのプロモータを切り出す 2.それをルシフェラーゼをレポーターとするプラスミドに組みこむ 3.ルシフェラーゼアッセイで酪酸による誘導の変化をみる →WAF1プロモーター上にあるいくつかのSP1エレメントの存在の有無に関わる前後でその転写活性が変化することが確認された. 4.SP1エレメントそのものにpoint mutationをいれこの部位が特異的な活性中心であることを確認する →著しい転写活性の低下を認め、酪酸に反応するエレメントと特定された. 現在この部位に働く生理的物質の同定作業とともにより強くこの部位に働く物質のスクリーニングを行っている.また一方でまだ未発表ののため物質名は挙げられないがより強いWAF1遺伝子の誘導活性をもつ自然食品中に存在する物質も複数スクリーニングされてきており、すでにそれにより癌細胞がG1期で停止することが認められている.こちらの方についても同様にそのプロモーター等への作用機序を研究していく方針である.
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