研究課題/領域番号 |
08877196
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
大西 清 東邦大学, 医学部, 講師 (30194228)
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研究分担者 |
蛭田 啓之 東邦大学, 医学部, 講師 (50201736)
大石 仁志 東邦大学, 医学部, 講師 (60185189)
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キーワード | ポリL乳酸 / 生体吸収材 / 生体適合 / 骨固定 |
研究概要 |
目的: ポリ-L-乳酸(以下PLLAと略す)に対し、その生体内変化について動物実験を行った。 材料および方法: 移植材として分子量10万〜14万PLLA(2mm径x3mmベレット・5x5x2mmプレート)を用いた。日本白色家兎を用い、硬組織内変化の検索として鼻骨・前頭骨骨欠損部ならびに同骨膜下に、軟組織内変化の検索として背部皮下・筋肉内に移植材を移植、その経時変化について観察した。 結果: (1)肉眼的変化:ベレット・プレートとも、移植後2週より加水分解による色調の変化を生じた。本変化は4週以降顕著となり、12週では白色膨化・表面の亀裂を認めた。20週摘出時においても移植材の崩壊、吸収は認められないものの高度に脆弱となった。 (2)走査電顕的変化:移植材表面は移植前に平滑であったのに対し、24週摘出時、無数の亀裂や膨化・落屑様の変化を認めた。36週摘出時には表面の亀裂はさらに深く凹凸も顕著となった。 (3)組織学的変化:移植後4週では、いずれの部位においても手術侵襲によると思われる炎症細胞浸潤、線維芽細胞の増生を軽微ながら認めるものの異物反応は認めなかった。8週では移植材周囲に線維芽細胞の増生、線維化を認めたが、炎症細胞浸潤や毛細血管の増生などの所見はなかった。24週では移植材に亀裂が生じ、その間隙に周囲組織が侵入し、一部には移植材を取り込む組織球を認めた。32週では、プレートは移植部で触知されず、顕微鏡下にその細片化した存在が確認され、周囲には組織球による貪食像が観察された。40週では移植材はさらに細片化し、これらを貪食する組織球の増加も顕著となった。しかし炎症所見はなく、また周囲の瘢痕組織も金属材料移植時に比し極めて軽微であった。また骨膜からの骨新生像も観察された。
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