研究概要 |
人末梢血単核球より全RNAを抽出し,RT-PCR法によりhumanIL-15 cDNAを増幅・単離し,これをEukaryotic expression vector pRC/CMVに組み,IL-15遺伝子発現ベクターを作製した.BALB/C同系腫瘍Meth-AにIL-15遺伝子を導入し,IL-15産生量が418(pg/10^6細胞/24時間)であったクローンをMeth-A/IL-15,またベクターのみを導入したものをMeth-A/Neoとした.これらの腫瘍細胞をBALB/cマウスおよびBALB/c-nu/nuマウスに移植し,腫瘍の増殖と組織像を検討した. BALB/cマウスでは,Meth-A/IL-15の増殖はMeth-A/Neoと比較して明らかに抑制され腫瘍細胞は全て拒絶された.さらにMeth-A親株の再移植も全て拒絶した.組織像はMeth-A/IL-15では著明な単核球と好中球の浸潤を認め,親株再移植時には著明な単核球の浸潤を認めた.一方BALB/c-nu/nuマウスでは,これらの免疫反応は極めて微弱であった. これらの結果から,IL-15産生腫瘍細胞はT細胞の局所浸潤能を増強し,さらに2次的に誘導されたサイトカインの作用により好中球の浸潤を引き起こすことにより,抗腫瘍活性を誘導していることが示唆され、IL-15遺伝子導入腫瘍細胞を用いた癌ワクチン療法が新しい癌治療のstrategyとなることが期待された.
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