研究概要 |
肺移植の需要は増加しているが,長時間保存の困難さもありその成績は満足できるものではない。本研究ではこれまで行われてきた肺保存研究に分子生物学的手法を導入し,肺保存時の肺組織中antioxldant enzymeのgene expressionについて検討するのが主な目的である.実験動物としてSpraugue-Dawley雄ラットを用い、ペントバルビタール麻酔下に気管切開を行って人口呼吸管理とした.ついで胸骨縦切開により肺を露出し、低カリウムリン酸緩衝液(Potassium buffered saline(PBS);K=20mM)で摘出時初回灌流を行った.灌流後標準UW液にて冷保存(4℃)を行うが,保存時間により実験群を以下の4群に分ける.1)12時間保存群(n=5),2)18時間保存群(n=5),3)24時間保存群(n=5),4)保存なし(対照群)(n=5).平成8年度に上記実験群1、4の一部,平成9年度に実験群1、4と実験群2,3の一部を行い組織を-80℃凍結保存した.今後実験群2,3の未施行分を行い,Chomczynski and Saachi法にてPNAの組織よりの抽出,Northern blot hybridization analysisを行い,antioxldant enzymeであるSOD,カタラーゼ,およびグルタチオン還元酵素のmRNAの測定を行う予定である.また,肺保存における肺障害機序解明のために必要があれば,以前われわれが開発した灌流モデル(Shigeyuki Sasaki,Keishu Yasuda,et al.Development of an Isolated,Pulsatile Blood-perfused Rat Lung Model for Evaluating the Preserved Lung Functions.Surgery Today 27:1154-1159,1997)を用いた肺のperfusion studyも行うこととする.
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