平成9年度 研究実績 本年度は虚血心モデルを作成し、虚血部位でのstiffnessの経時的変化を観察し、臨床応用の可能性について検討した。 方法:雑種成犬を使用し、左開胸下に心膜を切開し、左心室を露出した。冠状動脈の分枝を閉塞して急性虚血心筋モデルを作成し、同一部位の虚血前後でのstiffnessをtactile sensorで計測し、検討した。 結果:虚血状態での収縮末期の心筋の硬さ、tactile stiffnessは正常状態に比して有意に減少していることが示された。また、拡張末期のstiffnessは虚血下の方が有意に増大することが明らかとなった。以上の結果から、われわれの開発したtactile sensorは局所心筋機能の評価法として、極めて鋭敏で、有用であることが示された。以上の内容については、1998年4月号のJournal of American College of Cardiologyに掲載される予定である。 将来的には臨床応用をめざすが、まずは虚血性心疾患の開心術において使用するのが適当であると考える。計測自体は非浸襲的な操作で可能であり、センサーの滅菌、消毒の問題が解決されれば臨床応用は可能であると思われる。
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