研究課題/領域番号 |
08877216
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉尾 賢二 九州大学, 医学部, 助手 (70235927)
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研究分担者 |
牛島 千衣 九州大学, 医学部, 医員
塚本 修一 九州歯科大学, 歯学部, 助手
坂田 敬 九州歯科大学, 歯学部, 助手
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キーワード | 肺癌 / 微小転移 / サイトケラチン / がん遺伝子 / がん抑制遺伝子 / 遺伝子診断 / ras / 骨髄 |
研究概要 |
1.抗サイトケラチン(CK)抗体による免疫組織学的微小リンパ節転移診断 リンパ節転移陰性とされた第I期肺癌症例のリンパ節を抗サイトケラチン(CK2)抗体にて免疫組織化学的に検討したところ、約70%にCK染色陽性細胞を認めた。CK陰性症例の再発率が8%に対し、CK陽性症例では39%と高率であり、微小リンパ節転移の検出が、再発の指標として有用であることが示唆された。 2.血液中の微量癌細胞の検出 本年度までに、原発性肺癌切除症例76例を対象とし、術前に末梢血、骨髄液、術中に肺静脈血を採取し、各々より有核球を比重分離法にて分離した。これらの検体を対象に、抗サイトケラチン抗体(CK2)を一次抗体に用いて、免疫組織化学的(APAAP法)にCK陽性細胞の検出を行った。骨髄中には76例中40例(52.6%)にCK陽性細胞を認めた。末梢血中には4例(5.3%)に、肺静脈血中には3例(3.9%)にCK陽性細胞を認め、ともに全例が骨髄陽性例であった。絶対的非治癒切除を除いた72例での予後の検討では、観察期間5〜21ケ月において骨髄の陽性例36例中血行性再発を認めた例は7例(19.4%)で、陰性例では36例中2例(5.6%)であった。 3.遺伝子変異の解析 極めて微量の細胞からK-ras遺伝子変異を検出する系を、mismatched primerを用いたPCR-based designed RFLP法を基礎にenriched PCR法をすでに確立しており、正常細胞中の超微量癌細胞の検出を少なくとも1:10^4の比率で検出できることを確認した。さらに、骨髄液中の微量癌細胞を、特異的により高感度に検出するため、抗サイトケラチン抗体でラベルしたImmunomagnetic beadsを用いて、選択的にCK陽性細胞を選別し、enriched PCR法を用いて遺伝子変異の解析の予定である。
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