研究概要 |
1)臨床用MRI装置(Signa Horizon,静磁場強度1.5T)を用いた脳機能MRI測定法の改良を行った.従来の局所脳機能亢進にともなう血液中酸素濃度変化(blood oxygen level dependent(BOLD)効果)を捉える測定法では脳血流,脳血液量の変化,Hb濃度,脳表静脈との重なりなどの要素が信号変化に影響を与えるために,定量的および正確な解析には問題があった.そこで,最近可能となったcerebra1 perfusionをMRIによって画像化するFAlR(flow-sensitive alternating inversion recovery)法を応用して,脳血流画像による脳機能MRIの測定に成功した.FAIR法はBOLD測定法に較べて脳血流量の変化のみを捉えることができる意味でより正確な脳機能測定が可能となるが,信号ノイズ比が低いことが間題であり,今後の改善が必要である. 2)当初本年度の研究計画を予定していた単離神経線維の in vitro の研究は,高分解能NMR測定装置(Unity-NOVA,静磁場強度7.0T,15cm bore,Varian社製)の装置上の問題のために遂行できなかった.このため,単離神経を用いた in vitro の研究を割愛して,動物実験用MRI装置(Omega,Brucker,静磁場強度4.8T)を用いた研究を進めた.すなわち,脳虚血における脳代謝基質の分布変化の画像化と脳虚血における水分子の拡散強調画像法による解析を行い,脳代謝変化および水分子拡散に基づいた神経細胞興奮の画像化法の基礎的検討を行った.
|