研究課題/領域番号 |
08877227
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
上田 聖 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (40094411)
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研究分担者 |
大森 義男 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80240951)
今堀 良夫 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (80191899)
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キーワード | シグナル伝達 / ジアシルグリセロール / 大脳連合野 |
研究概要 |
(方法)1 ヒト正常脳での安静時および賦活時のイノシトールリン脂質代謝の画像化 (2 経時的測定法の実用化:昨年度に確立) 3 神経可塑性の画像化:特定の機能領域に負荷をかけての可塑性 4 電気生理学的手法との相関(結果と考察)1 イノシトールリン脂質代謝のPET所見は安静時では、今までサイレント領域とされていた連合野、特に前頭前野における活性が高かった。一側大脳半球の活性化が見られた正常例も両側の活性例もあったが、前頭前野では高率に右側半球の活性化が観察された。同側の眼窩面、扁桃、前側頭皮質にも活性をみとめた。連合野は多領域から直接的、間接的な投射を受け情報を集め統合的な機能を果たしているため、より描出された。3 脳血管障害で言語中枢が損傷を受けたリハビリ中の症例において、言語中枢と左右前頭葉連合野の関係を調べた。言語中枢のみならず、同側の前頭前野の同期性活性化と対側の前頭前野において同期性抑制が認められた。4 視床痛患者において硬膜外電気刺激を該当側の運動野に間欠的に加えると除痛効果が得られる。PETを行うと、治療前には認められなかった刺激後2日以上にわたるイノシトールリン脂質代謝の抑制が直下の運動野に認められ、対側運動野には増強効果が認められた。問欠的電気刺激により視床痛抑制効果が持続した事は、興奮性入力線維を高頻度刺激するとシナプスでの伝達効率が変化する事からも、LTPやLTDを起想させた。脳血管障害後や脳腫傷摘出後の脳内では極めて強いイノシトールリン脂質代謝が現れる部分があり、全体の活性の3SD以上を示した。spot potentiationを示し、病巣の反対側皮質に限局性に出現する頻度が高かった。spot potentiationは脳血流量には依存せず、損傷を受けてからしばらく経てから健常側連合野に出現し、その後減弱することから、新たな神経結合を形成するプロセスを見ている可能性がある。
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