本研究の目的は、生物、医学上重要となっている生体内の温度分布を、磁気共鳴の方法を用いて非侵襲的に測定する新たな方法を開発するための基礎的検討を行うことである。方法は、生体の誘電率の温度依存性に着目し、温度による誘電率の変化をイオン密度変化として捉え、変動電場によりイオンが移動するときに作る局所磁場を、MRIの信号強度に反映させることを基本原理とする。 平成8年度は変動電場の強さと周波数がイオンに及ぼす影響を計算を行った結果、この変動磁場の作るイオン振動が発生する磁場はかなり微少であることがわかった。このため、より強力な変動磁場を発生させるべく、小さな変動電場発生装置の作成した。さらにこの中に置いた試料のNMR信号をとることが出来るようなRFコイルを作成し、既存の実験用RMI装置Omega-CSI4.7T(ブルカ-社製)を用いて、電解液を試料として変動電場下での基礎的なMRI実験を試みた。変動電場を発生させるべく高い電圧をかけると電源のイノズがNMR信号に重なり、NMR信号の計測が困難であった。この電源ノイズを減少させるべく変動電場発生装置の改良を検討した。この結果、電源を直流電源にする事が必要であると結論した。今後、この電源の改良と、変動電場の最適化を検討することが必要であると考えた。これらの検討については平成9年度に行う。
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