研究概要 |
子宮内膜間質細胞in vitro decidualization systemの確立;ICR系未熟マウス(4〜5週令)より子宮を摘出し、眼科用剪刀を用いて子宮角の縦軸に沿って切開を加えシート上に拡げた後、洗浄・細切し、0.25% collagenase type1にて消化後、数回ピペッティングを行い子宮内膜細胞を組織より離脱。5分間静置して未消化組織を沈降させた後、ポリエステルメッシュを用いて細胞懸濁液を濾過して得られた子宮内膜由来細胞を洗浄し、て24穴のプラスチックディッシュ上に1.5×10^5cell/mlの濃度で播種。10%FCS加DMEM培養液中で37℃,5%CO2,in airの条件下で60分間静置した後、培養液を交換時に接着性の悪い浮遊上皮細胞を除去した。回収子宮内膜細胞りのサイトケラチン(上皮細胞のマーカー)、ビメンチン(間質細胞のマーカー)に対する免疫組織染色を行い96.4%が子宮内膜間質細胞と考えられた。得られた子宮内膜間質細胞をE2(0.1nM)+P4(100nM)添加群、ステロイド非添加群に分けその形態学的変化を比較検討したところ、ステロイド非添加群は培養期間中に形態変化は認められなっかったが、E2+P4添加群では培養5〜6日目より一部に細胞質の肥大した大型の細胞が出現し始め、14日後には核・細胞質ともに肥大した円形の大型細胞が多数出現した。透過型電子顕微鏡による超微形態の観察ではステロイド非添加群の細胞は7〜10層に多層化したものの細胞質に乏しく、細胞間結合は認められなかったが、E2+P4添加群では細胞は2〜3層に多層化したにすぎなかったが、円形大型細胞にはin vivoの脱落膜細胞と同様に細胞質は肥大し粗面小胞体の発達拡張を認め、細胞間結合を思わせる細胞膜上の変化を認めた。脱落膜化のメーカーとして従来より知られているデスミンの培養細胞における発現を、免疫組織染色により検定したステロイド非添加群ではデスミン陽性細胞を認めなかったが、E2+P4添加群では、小型細胞および円形大型細胞にデスミン陽性細胞の出現を認めた。 サイトカインの及ぼす影響;feto-matcrnal interfaceの形成検討の前段階としてembryoにおいて発現する報告のあるサイトカイン、epidermal growth factor(EGF),insulin-like growth factor-I(IGF-I)をそれぞれ20ng/ml,1ng/mlの濃度で培養液中に添加し、子宮内膜間質細胞の形態と機能に与える影響デスミン陽性細胞の動態で検討しところ、EGF,IGF-I添加群では非添加群に比してデスミン陽性大型細胞の出現率より高率であった。
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