ポルフィロモナスジンジバリスの黒色色素産生性と歯周病原性に関する分子遺伝学的研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08877273
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 中山 浩次 九州大学, 歯学部, 助教授 (80150473)
• キーワード: ポルフィロモナスジンジバリス / 歯周病 / ヘム / ヘモグロビン

研究概要

血液寒天培地上で黒色集落を形成したPorphyromonas gingivalis菌体中には分子量19kDaのタンパク質が顕著に蓄積していることがSDS-PAGEによる解析で明らかになった。このタンパク質のアミノ末端のアミノ酸配列を分析し、データベースと照合したところ、P.gingivalisのシステインプロテアーゼの遺伝子であるrgpAとkgp、および血球凝集素の遺伝子hagAによってコードされるタンパク質の内部領域のドメインタンパク質であることが示唆された。rgpA遺伝子内のこの領域(HGP15)をコードするDNAを染色体DNAからPCRにて増幅し、発現ベクタープラスミドに挿入し、HGP15の大量産生大腸菌株を構築した。この株を用いて精製したHGP15タンパク質はヒトヘモグロビンと強く結合する性質を示した。また、抗HGP15抗体を用いた実験から、我々の分離した黒色色素(ヘム)非蓄積性変異株(porRとporT)ではHGP15の産生が非常に低下していることがわかった。これらの結果から、この研究で発見したヘモグロビン結合タンパク質はP.gingivalisの黒色集落形成に深く関与していることが示唆された。

研究成果

• [文献書誌] Nakayama,K.,et al: "Haemoglobin receptor protein is intragenically encoded by----" Molecular Microbiology. 27(1). 51-61 (1998)
• [文献書誌] Nakayama,K.: "Domain-specific rearrangement between the two Arg-gingipain----" Microbiology and Immunology. 41(3). 185-196 (1997)
• [文献書誌] Nakayama,K.,et al: "Involvement of arginine-specific cysteine proteinase---------" Journal of Bacteriology. 178(10). 2818-2824 (1996)
• [文献書誌] Okamoto,K.,et al: "Cloning and sequencing of the gene encoding a novel lysine-----" Journal fo Biochemistry. 120. 398-406 (1996)
• [文献書誌] 山本健二他: "歯周病原性細菌プロテアーゼの構造と機能の解析" 蛋白質核酸酵素. 42(14). 2425-2432 (1997)
• [文献書誌] 中山浩次,中山宏明: "歯周病は超高齢化社会の質を左右する" 科学. 67. 123-126 (1997)