研究課題/領域番号 |
08877275
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 隆 大阪大学, 人間科学部, 教授 (60028793)
|
研究分担者 |
八十島 安伸 大阪大学, 人間科学部, 助手 (00273566)
硲 哲崇 大阪大学, 人間科学部, 助手 (90243154)
|
キーワード | 味細胞 / 味覚 / アポトーシス / 神経切断 / 有郭乳頭 |
研究概要 |
哺乳動物の味細胞は7-10日でターンオーバーするという他の感覚系細胞では見られ特徴を有する。現在、これがどういうしくみに基づくかは憶測の域を出ない。我々は、1つの仮説としてこれがアポトーシスの原理によるのではないかと思い立ち、それを検証する実験を計画した。本年度は、組織化学的方法を用いて、正常動物、および、味細胞支配神経切断動物の味細胞を対象に、アポトーシスが検出できるか否かを検討した。 実験には、雄性ウィスターラットを用いた。味細胞にシナプスする神経線維を切断すると、味細胞が死滅することを応用し、舌後部1/3を支配する舌咽神経切断、1日後、3日後、7日後、10日後、14日後の有郭乳頭内の味細胞中のDNAの切断量を『in situ end labilling (TUNEL法)』を用いた組織化学的方法により、正常動物のものと比較検討した。 その結果、切断1日後以外の組織切片におけるアポトーシスの検出は、極めて困難であった。しかしながら、この事実は、とりもなおさず、神経を切断された味細胞がアポトーシスにより死滅することを明らかにしたものであり、神経切断1日後の試料にのみDNAの断片化が顕著に見られるという事実も、アポトーシスによるDNAの断片化は極めて早期に起こるという従来の報告に一致するものであった。 以上の結果から、味細胞のターンオーバーが、アポトーシスの原理によるものであるとする当初の仮説が実証されたものと考えている。
|