マウス胎児の歯胚形成期から石灰化開始期にあたる胎生12〜16日齢に、Balb/C系並びにC3H系妊娠マウスの腹腔内に10^6Plaque-forming Unit(PFU)のマウスサイトメガロウィルス(MCMV)を感染させた。出生した仔マウスについて、体重、歯牙の萌出量及び色調を経時的に観察した。下顎骨を摘出し、脱灰標本を作製し観察した。経時的に仔マウスの脾臓、肝臓、唾液腺を採取し、ウィルスの検出を行った。 結果:(1)Balb/C系の仔マウスにおいて、感染群と非感染群を比較し、歯牙の萌出量に明らかな差は認められなかった。体重は、感染群において2週齢まで低い値を示した(2)色調については、感染群において出生後3-5週に黄色を帯びるものが約50%認められた。(3)出生後0-3日齢の仔マウスの下顎切歯のHE染色標本において、感染群では石灰化が僅かに少ない像が認められた。(4)生後2日齢の感染群の一部において、脾臓、肝臓からウィルスが検出された。生後4週齢の感染群仔マウスにおいて、脾臓、肝臓、唾液腺よりウィルスが検出された。(5)C3H系感染群において、著しく低体重や発育不全を示す仔マウスが各母獣より数匹ずつ出生した。(6)C3H系では、色調の黄変を示した割合は低く、30%程度であった。3週齢以降に下顎切歯に白斑や白帯を示した割合は、胎生16日齢感染群では70%にのぼり、マウスの系により症状の差が認められた。 感染ウィルス量と症状の発現との関係を調べることは時間的不足で行うことができなかった。次年度に行う予定である。
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