研究概要 |
前年度において、妊娠マウスの腹腔内にMCMVを接種した場合、仔マウスの下顎切歯に色調の変化を発現し、その所見にはマウスの系統差が認められたとの結果を得た。本年度の目的は、(1)感染ウイルス量と発現の関係を明らかにする、(2)受身免疫をした場合と不活化ウイルスを接種した場合において、色調の変化を観察する、(3)幼齢マウスに感染させた場合について同様に観察する、ことである。【結果】(1)胎生期16日齢に10^6PFU/0.2mlのMCMVを接種した。感染後2,24、72時間後にanti-mousecytomegarovirus antibodyをBalb/C系マウスに接種した場合、非抗体接種群と比較し、抗体接種群における下顎切歯に色調の変化を発現する割合は有意に減少し、仔マウスの生存率は低下した。生存率の低下は繰り返しの腹腔内接種の影響によるものが考えられる。(2)Balb/C系マウスにおいて、妊娠中の10^4PFUの感染価では、下顎切歯の色調変化の発現は認められなかった。10^<6-7>PFUの感染価では30-50%の発現を見た。高い感染価においては、顕微鏡下で70%以上の切歯の組織に亀裂等の所見を見た。C3H群において、10^5PFUの感染価では20%に白斑等の所見を認めた。(3)生後48時間以内の新生児マウスの腹腔内に10^<2-4>PFUのMCMVを接種した場合、生後3週齢から下顎切歯の破折、黒変、黄変、白帯などの顕著な所見を認めた。何らかの異常な所見を発現した率は、Balb/C系とC3H系の両者のマウスにおいて、10^2PFUの感染価の場合それぞれ100%、70%であった。(4)幼齢マウスにおける実験は時間不足のため行うことができなかった。
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