研究課題/領域番号 |
08877284
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
蜂須 玲子 昭和大学, 歯学部, 助手 (10164857)
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研究分担者 |
山本 実佳 昭和大学, 歯学部, 助手 (30276604)
花澤 智美 昭和大学, 歯学部, 助手 (20245872)
佐野 司 昭和大学, 歯学部, 講師 (40241038)
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キーワード | 放射線影響 / 骨芽細胞 / 細胞内シグナル伝達 / 細胞の分化 |
研究概要 |
放射線の照射により生じたフリーラジカルの作用により、細胞の分化が促進されたと考えられる実験系に関して、その機序を検討した。放射線により細胞内情報伝達が活性化される可能性を阻害剤を用いて検討した。 1)骨芽細胞様細胞株であるMC3T3-E1細胞をエックス線照射後に培養すると、生き残った細胞では分化の指標となるアルカリフォスファターゼ(ALP)活性が増加した。10Gy照射群では、非照射群の約3倍にALP活性(単位DNA量あたりの比活性)が増加した。2)チロシンキナーゼの阻害剤であるGenistein50μMを加えると、非照射の細胞ではALP活性がやや増加した。一方、Genisteinを加えて照射した群では、ALP活性の増加が抑制され、非照射コントロール群と同様の活性を示した。この抑制効果は、照射前に加えたGenisteinを照射1-2時間後に培養液から除いた場合には強く現れたが、照射30分後に除くと効果が低かった。さらに、Genisteinを細胞の照射後(30分または1時間)に加えた群でも抑制効果がみられた。これらの結果から、Genisteinは照射後1-2時間をピークとするチロシンキナーゼの活性化を抑制して、放射線によるALP活性の増加を抑制した可能性が示唆された。3)A-キナーゼおよびC-キナーゼの阻害剤であるH-7 50ηMの効果は各実験間でばらついたが、照射によるALP活性の増加が抑制される場合があった。しかし、C-キナーゼに特異性が高いCalphostin C 0.1ηMは効果を示さなかった。3)ホスホリパーゼCを阻害するNeomycinを加えても、照射群のALP活性には変化がなかった。 以上の結果から、エックス線照射が誘発するMC3T3-E1細胞のALP活性の増加は、チロシンキナーゼの活性化を介する可能性が示唆された。さらに、A-キナーゼの関与も示唆された。
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