研究概要 |
目的:歯周病関連細菌DNAに対する免疫応答の様態を調べることを目的とした。 材料・方法:歯周病関連細菌:Porphyromonas gingivalis FDC381株およびActinobacillus actinomycetemcomitans FDC Y4株;菌体DNAの調製:菌体表面のDNAは制限酵素Eco RIによる切断によって,菌体内のゲノムDNAはフェノール・クロロフォルム抽出法によって得た;菌由来のDNAによる末梢血単核球活性化能の測定:分取成分とともに培養した健常者末梢血単核球のbromo deoxyuridine(BrdU)取り込み能によって調べた;菌由来のDNAによる末梢血血清抗体価の測定:鍵常者血清を用いて,ELIFA法を用いて行った。 結果・考察 1)P.gingivalisならびにA.actinomycetemcomitansから回収したDNAは,健常者末梢血単核球のBrdU取り込みを上昇させた。このことは,菌体DNAが抗原として認識されたか,あるいは特定のリンパ球にマイトジェンとして作用したことを示唆する結果である。 2)しかし,末梢血血清抗体価の上昇は見られなかった。 これらのことから,P.gingivalisあるいはA.actinomycetemcomitansの感作を受けていないと考えられる個体にも菌体DNAを認識する免疫細胞が存在し,細菌の感染直後には,そのような免疫細胞が活性化し,宿主防御のために機能する可能性が示唆された。
|