コンサルテーション・リエゾン精神医学の導入にあたりその実施が必要な疾患をある程度絞った。そのひとつに舌になんら器質的変化がないにもかかわらず舌に疼痛を訴えるいわゆる「舌痛症」がある。舌痛症=口腔心身症と一般的に分類されてしまいがちだが、本当にそうであるのか、またそうであるなら、診療内科、精神科のコンサルテーションが本当に必要な患者のpopullationはどのくらいなのかを検索すべく、当科外来の新患患者で舌痛症が疑われる症例に対して、アンケートを実施している。これは患者の職業、家族構成など生活環境、発痛のきっかけ、舌の痛みの変化、嗜好品、等を網羅したアンケートである。口腔乾燥症との鑑別スクリーニングになるガムテストの実施とともにあわせて心理テスト[CMI(Cornell Medical Index)、SDS]も実施し、それらの結果もマッキントッシュコンピューターに入力しデータベース作成中である。今後、咬合不全、非定型顔面痛をを訴えてくる患者などについてもアンケートを作製し、実施したいと考えている。 唇顎口蓋裂患者にかかわる心理的問題に対して 大正大学カウンセリング研究所のカウンセラ-の先生に月に2回、当科CLP専門外来にでていただき、患児自身のみならず、親の心理についても探究するように親子でカウンセリングを実施してもらっている。また本学口蓋裂診療グループ主催の「CLP親と患児のための講演会」で講演していただいた。唇顎口蓋裂の加療は成人になるまでつづく。患児の精神的成長に合わせて「障害のあること」をどのように伝え、治療に同意、協力してもらうのか、今後の課題は大きい。 病棟においては、末期癌患者のターミナル・ケアに精神科のコンサルテーションをあおいだ例が何例かあった。その指導の下、疼痛対策にも向精神薬の併用を積極的に取り入れた。
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