変形性顎関節症の発症機構を検討することを目的として、当教室で樹立経代している軟骨細胞様細胞を用いてメカニカルストレスと、閉経後の骨粗鬆症に重要な役割を演じると言われているサイトカインとの関連を検討した。 その結果、細胞にメカニカルストレスとして遠心力を作用させたところ、2000rpmで90分まででは細胞増殖が促進することが示されたが、3000rpmでは10分で細胞死がみられ、60分では約80%近くの細胞が死んで浮き上がってくることが示された。このことは適度のストレスは細胞にとって好ましいが、過度のストレスは細胞に有害であることを意味しているものと推測される。 TNF-αは骨粗鬆症の発症因子の一つとして考えられている。我々はTNF-αが軟骨細胞様細胞の細胞死を誘導すること明らかにした。そこで、ストレス下におけるTNF-αの効果について検討したところ、TNF-αの細胞死誘導作用は適度のストレス下においても亢進することが示された。このことは、適度のストレスであっても炎症性のサイトカインが存在すると、ストレスは生体にとって障害作用を引き起こすことが示された。
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