研究概要 |
真核生物の細胞周期制御機構の研究は酵母cdc変異株を用いた研究によるところが大きい。一方哺乳類細胞は2倍体細胞であること、また変異株の濃縮が困難なことから多数の変異株を得られていない状況である。それ故多数のcdc変異株の単離には、従来の方法より効率が良い方法が望まれている。そこでチミジル酸合成酵素欠損、DNApolα+、E1+-CHO細胞を親株に多数のts変異株を得ることを試みた。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞からチミジル酸合成酵素欠損細胞とマウス細胞で用いられた方法(SomaticCell Genetics7,523)で単離することを試み、10^7の細胞にMNNG処理したところ合成酵素欠損1クローンが得られた。その細胞にgpt遺伝子を持つSRαプロモーターベクターにつないだE1遺伝子を導入し、安定にE1を発現するクローンの単離を試みた。が、このクローンは得られなかった。E1の安定多発現クローンは致死的ではないかと予想される。さらに同じベクターにつないだDNAポリメラーゼαを細胞に移入しこの安定発現クローンを単離中である。またチミジル酸合成酵素欠損細胞をチミジン存在下33°CでMNNG処理したのち39°Cで培養。39°Cで培養の際チミジンを培地から除去し39°Cで細胞増殖が止まらない細胞を死滅させた。39°Cの処理は16時間行った。この処理を3回繰り返した後33°Cでコロニーを形成させた。現在生じたコロニーを拾いts性を調べる段階にきている。今後はDNAポリメラーゼα発現クローンをもちいてこの単離をおこなう。
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