研究課題/領域番号 |
08877335
|
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
吉田 光二 国立がんセンター研究所, 薬効試験部, 主任研究官 (20158471)
|
研究分担者 |
西尾 和人 国立がんセンター研究所, 薬効試験部, 室長 (10208134)
西條 長宏 国立がんセンター研究所, 薬効試験部, 部長 (00215526)
|
キーワード | グニディマクリン / PKCβII / フォルボールエステル / PDBu / 細胞周期制御 / ダウンレギュレーション / cdk2 / G1停止 |
研究概要 |
中国産の植物、瑞香狼毒(S.chamaejasmeL.)より単離され、ルイス肺癌、B16メラノーマ、コロン26大腸癌などマウスの固形癌に強い制癌効果を示し、ヒトの癌細胞株に対しても10^<-10>のオーダーのモル濃度で増殖を抑制する新制癌剤グニディマクリンの作用の検討した結果、蛋白質リン酸化酵素PKCを直接活性化する作用が見いだされた。K562細胞の膜の水泡化現象、そして蛋白質リン酸化酵素阻害剤の添加による水泡化現象の消滅、フォルボールエステル(PDBu)のPKCへの特異的結合の阻害、ヒトの血小板凝集作用などがグニディマクリンの添加によって見られたことから、グニディマリンは細胞レベルでのPKCに作用していることが確かめられた。次にこのグニディマクリンによる細胞増殖抑制作用とPKC活性化作用との関係を検討した結果、グニディマクリンに対して低感受性のH69ヒト小細胞肺癌細胞株ではPKCの活性化が30分の1以下と低く、PKCの細胞での発現を抗体を用いて免疫染色で調べた結果、PKCのアイソフォームβIIの発現が感受性細胞では強く見られ、H69低感受性では弱く、HLE肝癌細胞など耐性細胞ではまったく見られなかった。PKCのアイソフォーム発現の違いによる感受性の違いの可能性が考えられた。HLE細胞はPKCのα型のアイソフォームは強く発現していたが、グニディマクリンとの接触によるPKCのダウンレギュレーションが強く見られた。PKC活性化後の細胞質から細胞膜へのPKCのトランスロケーションでは感受性の違いによる差は見られなかった。 現在細胞周期を制御する酵素の一つcdk2をグニディマクリンが細胞増殖を抑制する濃度で完全に阻害し、細胞の周期をG1に停止させることが明らかになり、グニディマクリンによる細胞周期制御因子を介した細胞増殖抑制機構とその感受性との関係についてさらに研究中である。
|