要援助者に対する洗髪の必要性と適切な頻度を明らかにする基礎研究として、19〜24歳の健康な男性8名を対象とし、安静臥床を要する入院患者を想定して、1週間洗髪を行わなかった場合の前頭部・頭頂部の頭皮皮表の好気性菌と自覚的不快感の経時的変化、ならびに洗髪の効果を測定し、以下のような知見を得た。 1.好気性菌のコロニー数(log_<10>/cm^2)の経時的変化:1回目の洗髪後72時間まで急増した後、168時間後(2回目の洗髪直前)まで微増傾向を認めた。2回の洗髪直後には実測のコロニー数は0または0に近くなった。 2.ブドウ球菌のコロニー数(log_<10>/cm^2):大半がコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)であり、コロニー数の経時的変化の傾向は好気性欣然帯とほぼ同様で、好気性菌のうち95%以上がCNSであった。 3.自覚的不快感:頭部の掻痒感・不快感・べたつき感・悪臭・重い感覚は、1回目の洗髪直後に完全に消失したが、時間の経過とともに増大した。不潔感・べたつき感・悪臭・重い感覚はほぼ直線的な増加を示したが、掻痒感は1回目の洗髪後72時間まで増加した後、168時間後までやや鈍い増加傾向を示した。また2回目の洗髪によって、べたつき感・悪臭・重い感覚は完全に消失したが、掻痒感・不潔感は完全には消失しなかった。 4.落屑量:頭髪全体では漸増傾向がみられたが、検体採取部では経時的に増大した。また1回目の洗髪直後にはほぼ完全に除去されたが、2回目の洗髪直後では少量の落屑を認めた。 5.以上のことから、健康的で快適な生活を送る上での洗髪の必要性と、1週間間隔では洗髪直後に不快感・落屑が残ることが明らかとなった。
|