研究概要 |
母児の心拍数解析、母体の姿勢による母体と胎児の心拍数の研究は、母体、あるいは胎児のみの情報であり、母児相互に関する研究ではない。本研究では、母体と胎児の心拍数を同時に測定し、母体の姿勢が母体心拍数だけではなく、胎児の心拍数にも影響を与え、わらに、胎児の胎向が母体心拍数に影響していることを明らかにした。 被験者は、妊娠経過に異常がなく正期産にある妊娠7名(年齢26.3±6.1歳,妊娠週数37週±7.6)である。母児の心拍数測定は、心音の周期分析から瞬時心拍数を求めた。分析方法は母児の瞬時心拍数を5秒間隔で抽出し,母児ともに記録されているデータ数、2691を分析の対象とした。瞬時心拍数の一過性変化については、(1)出現周期、(2)振幅,(3)加速度,(4)減速度を分析した。検定はX^2検定を行い,確率5%以下を有意差とした。 その結果、母体の平均心拍数は81.6±8.0bpm、胎児の平均心拍数は140.1±8.5bpmであった。胎児の平均心拍数は、母体の1.72倍であった。仰臥位時の母体の心拍数は、82.3±7.7bpm、胎児が141.6±7.9bpmであったが、右側臥位時では、80.7±8.3bpm、胎児は138.2±8.8bpmであった。母体の平均心拍数は仰臥位に比べ、仰臥位が有意に低いことが明らかになった。さらに、胎児の心拍数も仰臥位よりも仰臥位のほうが有意に減少する知見が得られた。さらに、母体の姿勢と胎向との関連では、仰臥位で第1頭位の胎児には、頻回な心拍数の変化がみられたが,仰臥位で胎児が第2胎向の場合は,母体の心拍数の一過性変化は,全くみられないという所見が得られた。
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