研究概要 |
本研究では,臨床における絆創膏の使用状況と絆創膏かぶれの実態を把握するために郵送による質問紙調査を行った。大分県下の病院44施設に対して病棟ごとに調査を依頼し,122通の回答を得た。絆創膏の主な使用目的は,ガ-ゼやドレーン・チューブ類の固定で,その他の目的としては,入浴時のカテーテル刺入部保護,放射線照射部位のマ-キングなどがあった。使用している絆創膏の材質は,紙製,布製,不織布製,ポリエチレン製などで,工業用ビニールテープの使用も多かった。絆創膏かぶれについては100例の報告があり,半数近くが粘着性伸縮包帯(伸縮性がある絆創膏)の使用でかぶれを起こしていることがわかった。かぶれの部位は,腹部,胸部,背部,上肢,顔面が多く,その症状は,発赤,表皮剥離,水疱形成であった。また,かぶれが見られた患者の多くは,整形外科疾患や消化器疾患をもっており,外科的治療を受けていた。考えられるかぶれの原因については,患者自身の皮膚の状態,固定方法,長期間使用の回答が多かった。看護者が絆創膏を使用するときに注意していることは,皮膚への観察,絆創膏貼付前後のケア,絆創膏の選択及び使用方法であった。また,皮膚への刺激が少なくかぶれない,粘着力があってはがしやすい,絆創膏を貼付したままで皮膚の観察ができる絆創膏を希望していた。以上の結果から,それぞれの目的に合ったさまざまな絆創膏が身体各部に使用されていることがわかり,絆創膏かぶれが起こりやすいと考えられる部位及び原因,かぶれの程度,かぶれが起こりやすい患者の特徴が推測された。今後は,身体各部の皮膚の状態,絆創膏の種類,絆創膏の使用方法などから絆創膏が皮膚に及ぼす物理的刺激をさらに検討する予定である。
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