研究課題
山梨県における虐待に関して2調査を行った。I 児童相談所(児童福祉士、心理判定員、相談調員)・保健婦及び市町村保健婦を対象とした「山梨県における幼児・児童虐待に関する実態調査」(1) 被虐待児総数(疑いを含む):児童相談所把握件数97件、保健婦把握件数33件(内10名重複)総件数:130件。(2) 被虐待児多発症状高位順:行動・情緒障害、外傷、発達障害、眼の症状、栄養障害、感染放置。(3) 虐待方法高位順:平手で叩く、殴る、放置、蹴る、食事・水を与えない、兄弟の差別、家に入れない、脅す、医療略奪。(4) 虐待に関して有効と思われた援助高位順:関係機関との連絡、継続した指導・援助、一時的虐待者・被虐待者の分離・被虐待児の両親への個別的援助(5) 虐待に対して最も困難に思われた高位順:虐待者の行動変容の困難性、虐待者との関係形成の困難、家族の協力の不足、育児・家事能力の不足II 山梨県在住母親(1422名)を対象とした「子育てに関する調査」:育児困難感高群(594名)低群(485名)の間に次の事項に関する有意差がみられた。(1) 児困難感高群の母親はイライラし、育児に困惑し、子どもをうまく育てていけない、叱りすぎであると思っている。さらに自分を母親としては不適格と思っている。(2) 児困難感高群の母親は低群に比べ、<失敗を繰り返す、汚す、ご飯を食べない、言うことを聞かない、鈍い>と言ったことにイライラ感をつのらせていた。(3) 児困難感高群の母親は低群に比べ、子どもに<殴る、「嫌い」という、「何でできないの」と言う、追い払う>という対処方法をとっていた。(4) 困難感高群の母親は低群に比べ、子どもに対処した直後、<おさまらない、自己嫌悪、後悔する、悲しくなる、かわいそうに思う>という気持をこの順序で持っていた。(5) 児困難感高群の母親は低群に比べ、子どもの<病気、泣くこと、睡眠、授乳、離乳、排泄、性格、発達>について心配していた。(6) 児困難感高群の母親は低群に比べ、<夫とはあまり話し合わない、夫との気持ちは通じていない・どちらともいえない、妊娠を余り望んでいなかった・嬉しかったが不安があった・とても不安、かつて自分が兄弟の間で不平等感があった、しつけには厳しかった、かわいがられていたとは思わない>という思い・感情があった。