【研究の概要】前年度は気管支喘息患者222名に心理テストMMPIを実施し、その心理的・性格的背景を検索し、喫煙喘息患者の心理状態が、非喫煙患者のそれとは異なり、より外向的、活動的、非社会的、世慣れている等の傾向があることを確かめた。また、重症度と喫煙状況の検討により、喫煙は喘息重症度には関係なく、症状が重くても喫煙することが確認され、さらに、喫煙喘息患者のニコチン依存度は、一般喫煙者より軽度であることも確かめた。これらの結果を総合して、喫煙喘息患者のタバコが止められないのは、ニコチン依存より、むしろ性格的な原因による可能性が示唆され、これらの結果を踏まえて、外来通院中の心理テストを実施出来た喫煙喘息患者37名(男声30名、女性7名)を対象にインタビュー形式の面接を行い、生育歴、生活習慣、家族構成、患者家族による患者評、喫煙歴、本人の禁煙の意志などの聞き取り調査を行った後、喫煙の歴史、喫煙者の病理・弊害・予後、喫煙が原因と考えれる疾患と罹患率、家族に対する弊害、禁煙効果などの禁煙教育、および心理テスト結果を基にした禁煙指導を行った。また同時に呼気中のCO濃度を測定し、禁煙指導の効果判定の基準とし、看護婦を含めた包括的禁煙指導を行った。 【禁煙指導結果】禁煙できた男女は11名(男性7名女性3名)、減量できた者18名(男性16名女性2名)、出来なかった者4名、脱落群4名であり、禁煙率は29.7%であった。さらに、現在の喫煙本数、喫煙期間、喫煙開始年齢、および現在の重症度別平均年齢を検討したが、喫煙期間と喘息重症度の間では明らかな関連は認められなかった。また、禁煙とストレスの有無との相関を検討するために、ストレスの有無と、種類の検討を行い、禁煙できた群はストレスの無い者が多いという結果を得た。結論として、29.7%の高い禁煙率を示したことは、医師および看護婦による包括的禁煙指導の有用性が示唆され、その成果を1997年12月 喫煙と喘息-喫煙喘息患者の禁煙指導、その2-として、看護科学学会(神戸国際会議場)にて発表した。現在、これらの結果をまとめ、MMPI各尺度のTスコア化を行っており投稿準備中である。
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