漢方医学で詳述されている食品の性の科学的実証を行うことを目的として実験をおこなった。食品素材として寒涼性に分類されているあさり、スイカ、温熱性に分類されている栗、かぼちゃを選び、ヒトを対象として、体表温度(額、首、手首、腕、足首)、体温、体表(足の甲)の血流、血圧の測定を行い、その効果について検討した。さらに前年度、身体を温める効果が認められたしょうがについて調理への応用を試みた。 1.温食・冷食の検索 摂取物は凍結乾燥したサンプル、対照として、サンプルに含まれるのと同重量の塘質、タンパク質、脂質を含む材料で構成されたクッキーとし、その摂取後の変化について比較した。 (1)スイカ 額、手首で体表温の低下傾向がみられた。血流量は増加する傾向が見られたが、血圧には違いは認められなかった。 (2)栗クッキーと比較して多くの部位において栗は体表温度の上昇を促進する、あるいは下降を抑制する傾向がみられた。血圧は上昇傾向にあり、血流量は減少する傾向にあった。 (3)かぼちゃ 手足などの末梢以外の部分において、体表面の上昇を促進する傾向が見られた。血流量、血圧には差はみられなかった。 (4)あさり 多くの部位において体表面の上昇あるいは低く維持する傾向がみられた。血流量はクッキーの摂取後よりも減少する傾向にあった。血圧には違いは認められなかった。 2.調理への応用 凍結乾燥したしょうが粉末を官能的に好ましい程度(生重量で強力粉の24%)添加した食パンと対照として、しょうが無添加の食パンとの摂取後の変化について比較したところ、額(P<0.001)、首など末梢部以外の部位で体表の上昇があり、手首(P<0.05)においては体表温の低下を抑制する傾向が認められた。血圧、血流量には差は認められなかった。
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