研究課題/領域番号 |
08878017
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
後藤 勝正 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (70239961)
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研究分担者 |
吉岡 利忠 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (50056933)
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キーワード | fiber width / cross-bridge / キンドファイバー / 速筋線維 / 遅筋線維 / osmotic pressure |
研究概要 |
本研究では、遅筋線維と速筋線維におけるクロスブリッジの動きおよびアクチンとの相互作用による生じる滑り力発生機構の違いについて明らかにすることを目的した。Wistar系雄性ラットの遅筋のひらめ筋および速筋の長趾伸筋から、スキンドファイバーを調整し実験に用いた。ファンクションシンセサイザー(NF回路設計ブロック社製・1940:既存設備)からの信号によりサーボモーター(General Scanning社製・G120D:既存設備)のアームに500Hzの正弦波を与えて筋線維を長軸方向に振動させ、張力計(AE801)からの出力を500Hzのバンドパスフィルターを通した後、その振幅から筋線維の硬さおよびアクチンに結合したミオシンクロスブリッジの数やその状態などを測定・評価する。この記録は、デジタルリアルタイム・オシロスコープ(ソニー・テクトロニクス社製・TDS380)によりパーソナルコンピューター(NEC社製・PC-9821AP:既存設備)のハードディスクの直接記録した。細い(thin)filamentと太い(thick)filament間の距離(lattice spacing、LS)を変化させた時の張力およびスチッフネスの動態について検討した。Polynylpyrroidone(PVP、K-30、濃度0-25%)をインキュベーション溶液に添加することで浸透圧を高め、筋線維幅(fiber width、FW)を低下させた。LSはFWに比例することが知られている。速筋線維、遅筋線維ともに弛緩状態でのFWは、PVP濃度の増加に伴い低下する傾向を示し、両筋線維間に差は見られなかった。一方硬直状態では、FWの低下は弛緩状態に比べて有意に小さかった。この時、遅筋線維は速筋線維に比べて、FWの低下が抑制された。以上の結果は、遅筋線維と速筋線維における硬直クロスブリッジの力学的特性に差異があることを示すものであった。すなわち、クロスブリッジの化学的状態遷移に両筋線維間に差異があると考えられた。張力発生の最小単位であるクロスブリッジは、遅筋線維と速筋線維で異なることが示唆された。
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