本年度は、まず、物理的素朴概念の背景にある比喩的概念についての理論的研究を行った。そのまとめは現在行いつつあり、来年度に報告したい。 次に、物理的概念の中から、力と、熱を選び、中学生を対象とした面接調査を実施した。 力については、特に磁石と鉄の間に働く力を選び、予測・観察・説明法を用いて面接を行った。その結果、一部の中学生の力概念の背景に「存在メタファ」が確認されたが、その割合はそれほど多くないこともわかった。また、運動メタファについても面接で確認されたが、この割合も多くなかった。現在は、この調査に続いて実施した小学校6年生を対象とした面接調査について分析中である。 熱概念については、まず、熱の移動と熱量の保存についてのアナロジーによる説明を印刷物で行い、その直後に熱の問題を中学生に課し、その後で一人一人の生徒を対象とした面接調査を実施した。その際、中学生を3グループに分けて、それぞれ異なった種類のアナロジーを与えて違いを調べようとした。 結果について分析したところ、確かに、アナロジーによる説明の効果は見られたが、アナロジーの種類の違いによる理解の違いについては、明確な結果が得られなかった。
|