1 先行研究文献の収集ならびに考察 今回入手しえた文献資料のうち、イギリスBFI(British Film Institute英国映画研究所)の教育部門が放送教育大学と提携し開発した現場研修向けテキストならびに資料集、AV資料を中心に考察、検討をつづけている。研修カリキュラムの構成、視覚メディアを中心としたメディア・テクスト解釈の具体的な課題設定、とりあげる対象資料の質的、量的特徴などを主な分析項目としている。国語教育における解釈活動の一環としてメディア・エデュケーションを位置づけるための基礎研究を意図した本研究にとって示唆を得るところ大である。一方、文化背景が逢えば、先行文献の教材観をそのままわか国に援用するむずかしさもあり、わが国の文化に応じた提案を模索している。 2.小中学校の実践家と定期的にメディア研究会をもち、共同研究 教育現場の実情も考慮しつつ新たな教材開発とその理論の構築をめざすべく、1996年4月から第4土曜日にメディア・エデュケーションに関心をもつ小中学校の実践家と月1回の研究会を設けている。具体的な活動としては、先のBFIやロンドン大学教育学部母国語教育科メディア研究コースの手による小中学校向け教材集をメディアのジャンル別に翻訳、紹介し、検討を進めている。また、絵画集、写真集、新聞広告、雑誌広告、コマーシャル、テレビ・アニメーションのオープニング・エンディング、映画の冒頭部、結末部など教材化のための資料収集を継続的に行い、毎月ジャンル別に実際の解釈作業をとおして個々のメディア・テクストの特性を把握するよう共同研究を行っている。 次年度は、これら文献研究と共同研究を継続しながら、メディア・テクスト解釈の理論と方法をめざして基礎的な研究をつづけていきたいと考えている。
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