韓国語音声と日本語音声の対照研究のため、本年度は日本語を中心に音声データを得た。音声提供者は現在まで韓国語話者1人、日本語話者18人。韓国語は単語約130語、短文6種類(鼻子音破裂音化)についての音声データ(繰り返しあり)。日本語は単語60語(鼻子音)、短文50、長文6種類(母音無声化)、短文27種類(intrinsicpitch)についての音声データ(繰り返しあり)。韓国語との比較のため、日本語子音/n//m/を含む50語についてLPCスペクトル分析を実施した。分析はKay CSLを使用、各セグメントの同定は音声波形、スペクトルグラム上で行っている。これにより母音初端部と定常部における母音フォルマントの変動を測定し、両者の相関関係を検討した(Locus Equationの算出)。日本語についてはかなり高い相関関係があることが分かった。韓国語については現在分析中。このあと両者の結果を対照する予定。また、日本語の母音無声化拍にみられる調音結合(coarticulation)について分析を進行中。無声子音が後続する場合母音が脱落することが多い「シ」「キ」の拍について、母音脱落後のノイズのスペクトルの特徴を検討している。とくにノイズ終端部周辺のスペクトルが、後続拍の母音に影響を受けるてどのように変化するか、やはりLPCスペクトル分析によって測定した。分析を終了した一部のデータについては組織的な変動が観察されている。
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