研究概要 |
現在地球温暖化の観点から、水田における嫌気的メタン酸化の確認を今年度の主たる目的とした。供試土壌として福島農試水田灰色低地土を用い、稲ワラを添加した土壌カラム(稲ワラ・作土カラム区)、稲ワラ、作土カラムの下に稲ワラ無添加の土壌カラムを接続した連結カラム区を湛水状態で準備し、両区に対し経時的に透水を実施した。稲ワラ・作土カラム区、連結カラム区の下部よりそれぞれ透水液を採取し、その全CH_4濃度を比較することにより、稲ワラ無添加土壌カラム中でのCH_4の酸化を推定するとともに、採取した透水液中の^<13>CO_2濃度から^<13>CH_4酸化の実証をめざした。 その結果、CH_4濃度が無添加土壌カラムを通過することにより減少すること、連結カラム区下部からの透水液中に^<13>CH_4に由来する^<13>CO_2の検出されることが判明した。以上の結果より、湛水土壌中で嫌気的メタン酸化が進行していると判断した。なお、生成した^<13>CO_2から推定したメタン酸化量は極めて少ないものであり、CH_4濃度の減少量から推定したメタン酸化量のわずか数%に相当するものであった。 次いで、バッチ法により、嫌気的メタン酸化を促進する土壌条件の検討を行った。すなわち、試験管中に充填した還元土壌に^<13>CH_4とともに各種酸化剤(MnO_2,Fe(OH)_3,S,Fe_2(SO_4)_3,CaSO_4)を添加し、その後の^<13>CO_2生成量を比較した。その結果、酸化剤無添加区およびMnO_2,Fe(OH)_3,Fe_2(SO_4)_3,CaSO_4を添加した区で^<13>CO_2の生成を確認するとともに、その生成量が経時的に増加すること、その際還元土壌をオートクレーブ殺菌するといずれの区においても^<13>CO_2の生成が見られなくなることが明らかとなった。
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