マンガン酸化細菌Bacillus sp.のマンガン酸化条件を詳細に検討した。炭素源をグリコール酸から酢酸ナトリウムに変更すると、2価マンガンの減少が、1mg/l向上し、初発マンガン濃度が32.9mg/lのときに最大6.52mg/lの減少が示された。そして、培養16時間目に最も高いマンガン減少速度を示した。このときの細胞状態を蛍光顕微鏡で観察すると顕著な胞子形成が認められた。さらに、電子顕微鏡に供すると、胞子に吸着している物質が存在することが判明し、これをEDXで解析するとマンガンであることが明らかとなった。すなわち、マンガン酸化細胞Bacillus sp.は、栄養細胞ばかりでなく、胞子にもこの作用があることが判明した。なお、本菌は、16SrRNA遺伝子解析の結果、Bacillus subtilisまたは、Bacillus licheniformisに分類されることも判明した。 次に、本菌を精密ろ過膜(孔径0.2μm)に固定化して、模擬水道源水(蒸留水にマンガンを1mg/lまたは0.2mg/lを添加したもの)からのマンガン除去を検討した。マンガンの酸化は固定化菌体量とリアクターの循環流速に依存し、循環流速0.08 l/minのときに62.3mgの菌体が固定化され、この条件でのマンガン除去率は1mg/lの初発濃度に対して80%以上であった。さらに、初発濃度0.2mg/lでは処理水のマンガン濃度は水道水の水質基準以下の0.04mg/lを維持できた。
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