研究概要 |
ポリペプチドの4α-ヘリックスバンドル構造体は、天然タンパク質の準安定変性構造であるモルテングロビュール状態にある構造体に近似される。これが原始タンパク質の分子進化の出発点であると仮定し、ディノボ(新規)設計、化学合成ポリペプチドに種々の機能性原子団を導入し、それらの触媒活性評価を通じて人工タンパク質、人工酵素の1からの創製の可能性を探ってきた。 4α-ヘリックスバンドル構造体内部に正四面体配置したHis,Glu,His,Gluは、アミノ酸のパラニトロフェニルエステルの加水分解を促進したが、ニトロアニリドを分解することはできなかった。α-ヘリックス鎖間を連結ループ部分の触媒機能化を検討したが格段の改良に至らなかった。 一方イソアロキサジン環を導入したフラビン酵素モデルは、疎水性を調節したN-アルキルジヒドロニコチンアミド基質に対して、極めて効果的に(最大24倍)の酸化触媒能を示した。それぞれの基質に対するKcat/Km値を決定し、人工酵素触媒活性が基質取り込み能に大きく依存する様子を明らかにし。 また4α-ヘリックスバンドル構造体にポルフィリン・鉄(III)錯体を導入し、これのペルオキシダーゼ活性を評価した。構造体内部の疎水場を利用して、過酸化脂質の検出を容易に行うことができた。この系を改良して実用化の可能性を検討している。
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